さっぽろ喫茶店グラフィティー Web版

さっぽろ喫茶店グラフィティー余話①――和田由美

 人気シリーズの第1作『さっぽろ喫茶店グラフィティー』(初版2006年)が先日、遂に品切れになってしまった。確か3回ほど増刷したはずだけれど、残り一冊まで売り切ったという訳だ。そういえば、若い世代の人たちが営む喫茶店の片隅に置いていることも多く、初めて訪れた店で見つけた時は、嬉しいと同時にすぐさま遁走したくなったものだ。意外に人見知りで、顔を知られたくなかったから……。

 ともあれ、こういうご時世なので「もう増刷は止めた方がイイ」という意見や、「初版発行から17年も経つので、『続 さっぽろ喫茶店グラフィティー』が欲しい」など、周囲の感想はさまざま。私としては、「もう終わっていいんじゃない?」という気持ちと、「せっかく出すなら今の良き店をしっかり紹介したい」という思いが交錯して、心が揺れ動く。

 そこで、まずは喫茶店フリークの青年に教えを乞いながら、最近おすすめの喫茶店を巡ってみようと思う。その中から気に入った店を、メモ代わりに書き留めていきたい。

 第1弾は、昨年暮れに立ち寄った「SKYBLUE COFFEE ROASTERS(スカイブルー コーヒー ロースターズ)。賑やかに車が行きかう札幌新道・道央自動車沿いにあり、コーヒー豆の焙煎・販売がメイン。とはいえ、店内には喫茶スペースも数席あり、若き店主がドリップで丁寧に落とすスペシャルティーコーヒーを味わえる。試しにオリジナルブレンドを頼み、飲んでみる。旨いコーヒーとは、雑味なく何事も無かったかのように喉元をするりと通り抜け、後味はスッキリするもの。やはり、ここもそうだった。素晴らしい! しかし、場所がわかりにくく通いづらいのが難点、惜しいなあ。(2023.3.10記)


バックナンバー

▶ さっぽろ喫茶店グラフィティー余話2023②
▶ さっぽろ喫茶店グラフィティー余話①