2023年12月22日、道内主要書店で発売!

 

さっぽろ歴史&地理さんぽ
エピソードと写真で振り返る札幌の150年

山内正明/著

定価1,980円(本体1,800円+税10%)
四六判並製
256ページ
ISBN 978-4-906740-62-8 C0025

地名に秘められたエピソードで知る札幌の150年

  • 札幌中心部をメインに市内10区の歩みを、写真や地図など約100点の図版を使って紹介。
  • 第1部「地名が伝えるこのまちの歴史」では、JR札幌駅周辺から桑園まで都心部に残る地名を訪ねるほか、近郊の山々や豊平川筋を巡りながら歴史をひもときます。
  • 第2部「地名に秘められた各区の歴史」では、市内10区を探訪。東区…タマネギの里、北区…かつて農業で栄えた文教エリア、西区・手稲区…屯田兵が拓き、鉱工業で発展、豊平区・南区…支笏火砕流台地の上に広がったまち、白石区・厚別区・清田区…幹線道路に沿って伸張、のタイトルでエリアごとにその歩みを紹介します。
  • 市内各所に埋もれた歴史を地名の由来と地理の視点から掘り起こす、エピソード満載の歴史読本です。

誌面

各エピソードには写真や地図をふんだんに掲載


巻末にはさまざまな地図や資料から収集した「札幌地名総覧」を収載

目次

Ⅰ◇地名が伝えるこのまちの歴史

【1章】都心に残る地名を訪ねて
 1 札幌中心街のシンボル─大通公園/2 札幌に出現した地下都市─さっぽろ地下街とサツエキ/3 観光スポットに変身した〝肴屋町〟─二条市場/4 怪しげな夜の街が商店街に─狸小路/5 開拓使が設置した遊郭に始まる─すすきの/6 たかがラーメン、されどラーメン─ラーメン横丁/7 碁盤の目状市街地を東西に分ける基線─創成川/8「カムム」から転じた?川の名─鴨々川/9 博覧会場として整備された公園─中島公園/10 歴代天皇が訪れた道─行啓通

【2章】JR札幌駅周辺から桑園へ
1 種子屋さんが始めた老舗デパート─札幌興農園と五番舘/2 初音ミクを生んだ新時代の産業─サッポロバレー・札幌テクノパーク・札幌ハイテクヒル真栄/3 日本最古の都市公園─偕楽園と清華亭/4 養蚕業の発展を目指した酒田桑園─桑園/5 北海道の〝旬〟が集まる札幌の台所─札幌市中央卸売市場/6 北大教授が暮らしたモダン住宅地─桑園博士町と大学村/7 北大キャンパスを流れる川─サクシュ琴似川/8 琴似川、幻の川筋─ケネウㇱペッ・ヨコウㇱペッ・セロンペッ

【3章】近郊の山から札幌を一望
1 名前が入れ替わった山─インカルㇱペ・藻岩山/2 消えたアイヌ語地名を探して─オペッカウシ・ケネウシ・エプイ・ハチャムエプイ・庫山・家山/3 温泉も経営した医院長の名が山名に─荒井山(荒井保吉)/4 幻のオリンピック選手を讃えて─源ちゃんスロープ(岡村源太郎)/5 シャンツェの名が転じて─大倉山(大倉喜七郎)/6 消えた大型観光プロジェクト─温泉山/7 市内に二つあった馬場山─馬場山(馬場和一郎)/8 札幌の発展を見守ってきた父なる山─円山/9 嫁を泣かせた厳しい峠越え─小林峠

【4章】母なる川、豊平川をたどって
1 札幌の母なる川・サッポロペッ(サッポロ川)─豊平川/2 豊平川に初めて架かった橋─豊平橋/3 始まりは私費で架けられた橋─一条大橋と幌平橋/4 海のないところにある岬─軍艦岬と割栗岬/5 望郷の念にかられた花魁の悲話─おいらん淵/6 1千万年前の姿を今に伝える─十五島公園/7 険しい岩峰、恐竜の背の如し─観音岩山(八剣山)/8「熊本開墾」に生まれた湯治場─小金湯温泉/9 開祖の名にちなむ温泉地─定山渓温泉(美泉定山)/10 廃虚となった国内有数のレアメタル鉱山─豊羽鉱山

Ⅱ◇地名に秘められた各区の歴史

【1章】タマネギの里〈東区〉
1 サッポロ御手作場と運河を開いた大友亀太郎─大友堀(創成川)/2 もとは高射砲が置かれた防空広場─美香保公園/3 ごみの埋め立て地をアートで再生─モエレ沼/4 地域特産タマネギ「札幌黄」の故郷─丘珠/5 地名は苗穂村時代の村の形に由来?─三角街道・美住/6 再開発で変貌する明治期からの工業地区─苗穂

【2章】かつて農業で栄えた文教エリア〈北区〉
1 ダイコンを積んだ馬車が行き交った北大前─北大通と大根道路/2 亜麻製線工場跡に生まれた麻のまち─麻生町/3 今も昔も中心市街地と郊外を結ぶ幹線─石狩街道/4 開拓に大きな役割を果たした囚人労役─赤坊川/5 受け継がれた、かつての特産品“藍”の記憶─あいの里と興産社

【3章】屯田兵が拓き、鉱工業で発展〈西区・手稲区〉
1 〝借用〟から始まり変遷を重ねた地名─琴似/2 ムクドリの鳴く地から、札幌を代表する工業地域へ─発寒/3 もとの名は長悪山─手稲山/4 お殿様が拓いた農場─前田・手稲前田/5 かつては2000人が働いた金鉱山─金山

【4章】支笏火砕流台地の上に広がったまち〈豊平区・南区〉
1 日本海側と太平洋側を結ぶ要路─弾丸道路(国道36号)/2 兵隊のまちから住宅街に─月寒/3 地名に留められた、美しい花園だった時代─美園/4 平岸の発展を見守ってきた火山灰の丘─天神山/5 語源は「絶壁のところ」─ニセイオマップ・簾舞

【5章】幹線道路に沿って伸張〈白石区・厚別区・清田区〉
1 メインストリートとともに発展─白石(国道12号と南郷通)/2 侯爵が拓いた農場と引っ越してきた夜の街─菊水(菊亭脩季)・札幌遊郭/3 あちらこちらにあった“厚別”の地名─アシリベツとあつべつ/4 有明地区の原点、白旗山─公有地と有明/5 街道の里程標・三里塚にちなむ─里塚

Ⅲ◇札幌地名総覧

札幌地名総覧/地名採録地図&文献一覧/凡例

「はじめに」より

地名には、その土地の自然だけでなく、たどってきた地域の歴史や人々の営みの積み重ねを知ることのできる大切な手がかりひそんでいます。
札幌は和人の入植、開拓から150年が経過し、人口も約197万人を数えるなど、東京を除くと日本第4位の大都市となりました。積雪が1mを超える雪国としては、世界最大の都市です。そんな札幌にあるさまざまな地名を手がかりに、各地域の歴史や特色を探ってみたのが本書です。
この本を片手に近所の探索をするもよし、ドライブがてら市内の探訪に出かけるもよし。札幌で暮らす人々が地域の歴史を知り、地元への愛着を深める──本書がその一助になればこれ以上の喜びはありません。

著者プロフィール

山内正明(やまのうち・まさあき)
1951年(昭和26)、北海道札幌市生まれ。北海道教育大学札幌分校を卒業後、1975年より藤女子中・高等学校で教鞭をとり、2006年退職。札幌地理サークル会員(前会長)。専門分野は地理教育学。著作は『北緯43度 札幌というまち…』(共著、清水書院、1980)、『北海道 地図で読む百年』(共著、古今書院、2001)、『増補改訂版 札幌の地名がわかる本』(共著、亜璃西社、2022)ほか。